葬儀について

焼香は場所によって変わる⁉︎ 正しい作法と宗派ごとの回数を紹介

仏教式のお葬式やお通夜などでは、焼香をすることが主流になっていますが、一般の方からするといきなりの焼香に戸惑ってしまうことも多いです。

座って行う焼香の場合は、周囲の人の作法に習って行えば問題はありませんが、1人1人が立って祭壇前で行う焼香では作法の確認ができないため、やり方を知らないとついつい緊張して恥をかいてしまうことも。

そこで今回の記事では、焼香を安心して行えるように正しい作法と、宗派ごとに違う焼香の回数について紹介。一度覚えておくと緊張して恥をかいたりする心配がなくなるので、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

・焼香の正しい作法
・宗派別の焼香の回数

焼香の意味とは

焼香は仏教ならではのもので、仏様や亡くなった人にお香をたき、香りをお供えする供養方法の意味を持っています。

お葬式や通夜、法事などで使われるパラパラとしたタイプのお香は、抹香(まっこう)と言います。

焼香の正しい作法

それでは早速、焼香の正しい作法をお伝えします。
焼香には立って行うやり方と、座って行うやり方の2パターンがあるので、ここでどちらの作法も予習しておき、焼香をする時に慌てないよう準備しておきましょう!

立って焼香を行う場合

    • STEP1
      手を合わせて一礼
      立って焼香をする場合はまず、祭壇の前に置かれた香炉(焼香を落とす入れ物)の前に立ち、手を合わせ(合掌)てから一礼をします。
    • STEP2
      右手の親指と人差し指、中指で抹香をつかむ
      一礼を終えたら次に右手の指で抹香を少量つかみます。

      この時、数珠は左手で持っておくと焼香の邪魔になりません。
    • STEP3
      目の高さ(おでこの付近)に摘んだ抹香をあげる
      抹香をつかんだら、右手をそのまま目の高さまで持っていきます。

      右手の位置が顔から離れていると、少し不慣れな感じが出てしまいますので、額に触れるような距離感を意識すると◎。
    • STEP4
      香炉の中に抹香を落とす
      右手を目の高さまで持っていったら、次に抹香を香炉に落とします。

      抹香はパラパラとしているので、周りが散らかってしまうことを避けるため高いところから落とすのは厳禁。できるだけ低い位置から少しずつ落としていくのが良いでしょう。
    • STEP2〜4までは、宗派によって1回〜2回繰り返します。
    • STEP5
      手を合わせて一礼し、席に戻る
      抹香を落とし終えたら最後に手を合わせて一礼し、自分の席に戻ります。

      お葬式やお通夜の場合は、自分の席に戻る前に遺族やお坊さんに一礼していくと良いです。

座って焼香をする場合

  • STEP1
    香炉を受け取る
    座って焼香をする場合は、焼香が自分の番になると香炉が自然と自分に回ってきます。
    香炉が来たら渡してくれた人に軽く会釈をして、香炉を自分に寄せましょう。
  • STEP2
    香炉を目の前に置いて一礼
    香炉が回って来たら、焼香がしやすいように香炉を自分の目の前に置き一礼をします。
  • STEP3
    右手の親指と人差し指、中指で抹香をつかむ
    香炉を自分の目の前に置いて一礼をしたら、右手の指で抹香をつかみます。

    焼香は右手で行いますので、数珠は左手に移しておきましょう。
  • STEP4
    目の高さ(おでこの付近)につかんだ抹香をあげる
    焼香を右手の指でつかんだら、焼香を目の高さに持って行きます。
  • STEP5
    香炉の中に抹香を落とす
    焼香を目の高さに持っていったら、高すぎない位置で抹香を香炉に落とします。

    座って焼香をする場合は、香炉の位置が低く感じられるので、少し頭を下げて抹香を落とすと良いです。
  • STEP3〜5までは宗派によって1回〜2回繰り返します。
  • STEP6
    手を合わせて一礼し、香炉を次の人に渡す

    焼香が終わったら手を合わせて一礼し、香炉を隣の人や後ろの人に渡します。

    香炉をひっくり返してしまうと、床や周囲の人に抹香や火の粉がかかってしまう危険性がありますので、渡す際は慎重に行いましょう。

宗派によって違う焼香の回数

焼香は仏教独自のものですが、回数は宗派によって様々。
回数が1回の宗派は「心を込めて焼香をする」という意味合いから1回だけとしていますが、どの宗派においても焼香に気持ちを込めることは大差ありません。

回数は宗派による決まりですが、1回でも3回でもしっかりと供養の心を持って行うことが大切でしょう。

宗派 回数
天台宗 3回
真言宗 3回
曹洞宗 2回
臨済宗 2回
日蓮宗 決まりなし
浄土真宗 本願寺派 1回
浄土真宗 大谷派 2回
浄土宗 決まりなし
日蓮宗と浄土宗には回数の決まりがありませんが、2回〜3回が目安となっています。

まとめ

焼香は葬儀や通夜、法事などで参列者が行うものですが、しっかりとした作法や回数を知っている人は少なく、「前の人のマネをしておけば大丈夫だ。」と考えている人がとても多いです。

しかしその前の人が焼香のやり方を間違っていたり、自分が一番最初にしなければならない場合、大勢の前で恥をかいてしまうことも充分ありえます。

焼香の作法と回数を覚えておくことは、これから葬儀などに参列した時に恥をかかないための大人のマナーですのでぜひ覚えておいてください。

ABOUT ME
おてさら君
お寺生まれの長男坊。『仏教は哲学』をモットーに仏教の面白さを世の中に伝えるべく日々自己鍛錬中。ミャンマーやスリランカといったアジア国で上座部仏教の修行経験、日本では納棺師の経験を経ています。自分の煩悩の強さを感じながら『職業は僧侶』ではなく、『生き方が僧侶』を目指し、宗派に属さずお寺と俗世間の間で偏りのない仏教に関する情報を提供中。
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