納棺師の仕事は、亡くなった人に関わる仕事であるため、一般的な仕事とは一味違ったやりがいを感じることができます。
しかし、実際の現場ではやりがいだけでは片付けられない、多くのストレスなどが納棺師を悩ませており、「もう納棺師を辞めたい」「納棺師を辞める」といった言葉が出ることもしばしばあります。
そこで今回の記事では、納棺師を辞めたいと考える人の大きな理由やきっかけを紹介。
実際に納棺師をしていた私が納棺師を辞めた理由についてもお伝えしますので、納棺師はどのようなことで退職を思案するのか、ぜひ最後まで読んでください。
・おくりびと(納棺師)を辞めたいと思う理由やきっかけ
・実際に辞めた理由
目次
おくりびと(納棺師)を辞めたいと思う理由・きっかけ
人間関係に悩まされる
納棺師は「亡くなった人のお世話をする仕事」であることから、あまり人と接しないと考えられがちですが、実際には職場の人達や葬儀会社の人々、亡くなった人の遺族と関わりを持たなければなりません。
それぞれの人間関係がこじれたりすると、納棺師としてのやる気を削がれたり、居場所がなくなってしまうため「もうやめよう」「もう辞めたい」と考えるようになってしまいます。
納棺師の間では考え方の違いによって人間関係がこじれる
納棺師になって一番密に接するのが、同じ職場の納棺師たち。
同じ業務をこなすので、仲良く仕事をするのがベストですが、納棺師としての心構えや考え方の違いによっては人間関係がこじれてしまいがち。
特に納棺師は女性の方が多いため、女性同士の派閥に疲れて辞めたいと感じる人が多いです。
葬儀社の人達と上手に関われない
納棺師によっては、葬儀社の下請けとして仕事をしている場合があります。
葬儀社の下請けの場合は、葬儀社の人達とコミュニケーションを取る時間が少ないこともあり、「あの人なんなの?」とお互いに嫌悪感を抱いている場合も少なくありません。
葬儀社の人との関係が悪化すると、「あの納棺師使いたくない」と言われて、納棺師としての自信を失い、「もう仕事現場に向かいたくない。」と考えてしまうこともあるのです。
遺族からの八つ当たり
亡くなった人の遺族と納棺師は、メイク時と納棺式だけで顔を合わせる関係ですが、時には遺族の怒りや悲しみが、納棺師にぶつけられることもあります。
その中でも特に多いのが、葬儀社への不満を納棺師に八つ当たりされること。
葬儀社と納棺師の仕事は基本的に違いますが、遺族の方からすると同業者にみられる事が多く、「あの人説明がなかったけどどうなってるの?」とか、「あの人の態度が気に入らない!」と初対面で怒声を浴びせられることもあります。
いきなり怒られたりしたとしても、謝る事しかできませんのでストレスだけが溜まり、「もううんざり」と気持ちが落ち込んでしまうこともしばしばです。
悲しみが溢れている現場に行くのが辛い
納棺師の仕事は、亡くなった人のお世話をする仕事であるため、仕事現場は常に悲しい雰囲気で包まれています。
亡くなった人がお年寄りの場合は、寿命ということで遺族の方もある程度「死」を受け入れていますが、不慮の事故によって小さな子どもが亡くなっている場合だと、遺族の悲しみはとても大きいものとなります。
納棺師は第三者として仕事に徹するようにしていますが、遺族の悲しみに同調してしまうと「もうこの雰囲気に耐えられない。」「亡くなった人と遺族をみたくない」と考えるようになってしまい、納棺師としての能力がありながらも、なかば鬱(うつ)の状態で退職してしまうことがあるのです。
重労働による体調不良
納棺師の仕事は実はかなりの重労働。
遺体は床に直に横たわっている事が多く、無理な姿勢で体位変換を行うことも少なくありません。場合によっては100キロ越えの大きな遺体を着替えさせることもあり、腰にかなりの負担がかかるのが事実。
そのため腰を悪くしてしまう納棺師は多く、離職理由で腰に関するトラブルが最も多いとされています。
私がおくりびと(納棺師)を辞めた理由
私自身も実際に納棺師をしていましたが、ある日の業務中に腰を痛めてしまいました。
腰を痛めてから2週間ほど過ぎても容態が良くならないので、病院で検査を受けると、腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアとの診断を受けて数週間後に退職。
常日頃からストレッチなどを行っていましたが、ケアも虚しく今でも症状は改善されていません。
まとめ
納棺師は、一般的な仕事よりもストレスを感じる事が多い仕事なので、精神的な面で「辞めたい」と感じる人も多いですが、中には身体を壊した事で納棺師をリタイアする人も少なくありません。
納棺師を続けることは、心身共に健康でなければならないので、日頃のケアは必須と考えられるでしょう。