最近では、納棺師という仕事が一般的に認知されるようになって来ており、「納棺師になりたい」「納棺師の仕事がしたい」という人が増えてきています。
中には求人サイトやハローワークなどで納棺師の求人を発見し、納棺師の仕事に興味を持って応募に踏み切ろうとしている人もいるでしょう。
納棺師の仕事は他の仕事では味わえないやりがいのある仕事ですが、人によっては実際に仕事をしてみて「こんなはずじゃなかった」と早期退社してしまい、履歴書にキズだけを付けてしまったという人が多く存在しています。
今回の記事では、実際に納棺師をしていた私が納棺師になりたい人や、納棺師の求人を見つけて興味を持った人たちが、納棺師の職についてから後悔しないために、納棺師の求人に応募する前に考えるべき4つのことを紹介。
納棺師にならなければ良かったと後悔しないためにも、しっかりと考えておかなければなりませんので、納棺師の求人の応募を検討している人は必ず一度読んでください!
・納棺師の求人に応募する前に考えるべき4つのこと
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目次
納棺師の求人に応募する前に考えるべき4つのこと
納棺師の求人を見つけたらすぐに応募をせず、以下の4つを考える必要があります。
自分が就職して後悔することも考えられますが、中にはその後の人生に関わる問題が発生してしまう場合もあるので要チェック。
- 家族や恋人の理解を得られるか
- 給料が高いと勘違いしていないか
- 身体は健康で丈夫であるか
- とりあえず就職したいと考えていないか
家族や恋人の理解を得られるか
納棺師に応募するにあたって、まずはじめに考えたいのが「家族の理解を得られるかどうか」です。
納棺師を志す人や興味を持った人は、納棺師が亡くなった人と関わる仕事であることは充分理解されていることと思いますが、家族や恋人が全員納棺師の仕事内容を知っているとは限りません。
仕事内容にあまり理解がない家族や恋人からは、「死んだ人に関わる仕事なんて不潔・不気味。」と考えられることがあり、周囲の人たちから「家族・恋人はなんの仕事をしているの?」と聞かれた時に「納棺師をしている」とはなかなか言いにくいといった問題もあります。
家族や恋人は世間体も気にする
また、家族や恋人が理解があったとしても、自分の子どもやパートナーが納棺師をしていることを周囲の人に知られたくない人は多いです。
周囲の人が全員納棺師に理解があれば良いですが、「あそこの家族には、死んだ人を触る仕事をしている人がいる」「もっとちゃんとした仕事したら?」など侮辱的な言葉を言う偏見的な見方の人も少なくないで、家族や恋人からするとどうしても世間体が気になってしまうことがあるのです。
仕事のエリアによっては、向かった現場が近所だったという可能性もあり得るので、周囲の人に話していなくても、納棺師をしていることが自然とバレてしまうことも考えられますので、世間体によって家族や恋人が精神的な苦痛を感じないためにも、納棺師になるとお互いにどのような影響が出るのか理解しあう必要があります。
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給料が高いと勘違いしていないか
私が納棺師をしていた頃は「納棺師って給料高いんでしょ?」と言われることが多々ありましたが、ぶっちゃけ給料は基本給が19万円程度でした。
納棺師の給料が高いと言われる理由の一つは、映画「おくりびと」で主人公が初任給40万円ほどだったことが大きな要因と考えていますが、映画と現実は全然違います。
高い給料を求めて納棺師になりたいと言うのは、勘違いでしかないので高給な仕事を探しているのであれば、納棺師とはまた違った仕事を探すことが必要でしょう。
納棺師として努力を重ねて独立した人であれば、月給40万円も夢ではありませんが、納棺師として専門業者や葬儀社に就職した場合、月給や年収はサラリーマンの平均以下であることを理解してください。
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身体は健康で丈夫であるか
納棺師の求人募集には
・遺体のメイク
・亡くなった人のお世話
・旅立ちのお手伝い
といったことが多く書かれていますが、現場の雰囲気をイメージしにくいために、納棺師の代名詞であるメイクをすることだけが先立ってしまい、他に業務は無いのではないかと感じられます。
しかし実際には、亡くなった人の着替えや全身の清拭、傷跡の処理などをすることがあり、亡くなった人の体の体位変換をすることが必須です。
亡くなった人の身体は力が抜けて硬直しているので、体位変換は介護職を経験している人でも苦戦する程の重労働。身体が健康でなければ仕事を続けることはとても難しく、多くの納棺師が腰痛などの体調不良で退職をされています。
納棺師の仕事は、亡くなった人のメイクだけではなく、重労働があることをしっかりと理解し、自分の身体が仕事をこなせるほど健康であるかをよく考えてから求人の応募をしましょう。
とりあえず就職したいと考えていないか
「求人で納棺師という変わった仕事を見つけたから、とりあえず応募してみよう。」と求人を見て考えた人もいるかと思いますが、納棺師という仕事は、とりあえずやってみるで続けられるほど簡単な仕事ではありません。
納棺師の仕事では
・遺体の耳や鼻、口に詰め物を詰める
・強い死臭を感じることがある
・顔を背けたくなるような状態の遺体にも遭遇する
といった業務上で強いストレスを感じることがとても多いのです。
過激な映画を見て「グロ体勢あるからいけるっしょ♪」といった次元で語れるものではないので、納棺師の仕事を簡単に考えてはいけません。
まとめ
納棺師という仕事は、一般的な仕事とは一線をひく特殊な仕事のため、求人があったとしてもすぐに応募はせず、しっかりと納棺師をできる環境ができているのか考える必要があります。
場合によっては、仕事を始めてから家族や恋人に迷惑をかけてしまったり、健康状態を悪化させてしまうこともあるので、自分や家族に目を配ることは必須。
給料は周りの人が思っているより少ないですが、納棺師としての意欲がある人であれば、やりがいが勝ることは間違いありませんので、この記事を見て決意が固まった人はぜひ納棺師の門を叩いてください!