仏教

お寺やお経で聞く『南無』の意味とは?

お寺やお経の中で『南無(ナム)』という言葉をみたり聞いたりしたことがあると思います。

日常的には耳にすることがない言葉なので、聞き流していしまうことが多い南無ですが、実はちゃんとした意味を持つ大切な仏教用語の一つなのです。

そこで今回は、南無の意味や一般的に知られている南無の使われ方、南無の語源について説明させていただきます。

南無の意味を知ることで、お経の意味を少し理解できるようになります。
この記事でわかること

・南無の意味
・南無の語源
・一般的に知られる南無が使われる単語や、言葉

 

南無(ナム)意味とは

南無とは「尊敬」や「敬意」の意味を含む言葉です。

南無は仏や菩薩、お経の名前の前に付けられており、祈りや願い、感謝などの気持ちも込めて、南無がつくものが信仰対象であることを表しています。

言葉で言うと、敬意いを持って家族のことを「御家族」と言ったり、夫婦のことを「御夫婦」と言った感じが近いです。

南無の語源はサンスクリット語の『ナモ』

南無は、古代インドにあった言語の一つ「サンスクリット語」から生まれたナモが語源とされています。

ナモは、東南アジアで信仰されている「上座部仏教(テーラワーダ仏教)」の礼拝文(お経を始める前に唱える言葉)などで実際に耳にすることができます。

上座部仏教の礼拝文

ナモータッサ バガヴァトー アラハトー サンマー サンブッタッサ
阿羅漢であり、正自覚者であり、福運に満ちた世尊に、私は敬礼します。

ナモも味合いは南無と同じで、尊敬や敬意の意志が込められています。

 

『南無』が使われている仏やお経、言葉

ここでは実際に南無が使われている場面を紹介していきます。

仏や菩薩に使う場合と、お経に使われる南無は意味こそ同じですが若干ニュアンスが異なります。

細かなところですが、知っておくと面白い!

一度は耳にしたことがあるものなので、読んでいくと南無の理解が深まります。

 

仏や菩薩に使われる南無

仏や菩薩に使われている南無は、敬意を持って「お仕えします。」「従います。」といったニュアンスです。

仏様や菩薩にお仕えするという強い意思を持つ信仰心を表し、仏様や菩薩に従うことを表しています。

例 南無釈迦如来(なむしゃかにょらい)
意味 私は釈迦如来に従います。

一般的に南無が知られている仏や菩薩
・南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
・南無釈迦如来(なむしゃかにょらい)
・南無観世音菩薩(なむかんぜおんぼさつ) など

お経に使われる南無

お経に使われている南無は、「お経に込められてる意味や教えを信じて、その道に勤める。」というニュアンスを持ちます。

仏や菩薩に使うのとはまた違った、励むという自分の信念も含まれています。

例 南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)
意味 私は巧みで優れた教えである法華経を信じて励みます。

*妙法とは、巧みや巧妙、優れたという意味持っており、妙法蓮華経は『法華経(ほけきょう』の正式な呼び方を指しています。

 

一般的に知られている南無がつくお経
・南無大師遍照金剛(なむたいしへんじょうこんごう)
・南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)

南無三(なむさん)は南無三宝(なむさんぼう)の略

南無三(なむさん)!

という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、実はこの南無三の「南無」も、仏やお経に使われる南無と同じ意味を持っています。

南無三は南無三宝の略であり、三宝(お釈迦様、教え、お坊さん)を敬い、尊ぶことを指しています。

まとめ

南無は仏教用語の中でも馴染みがある言葉です。

南無は短い単語なので意識されることは少ないですが、尊敬や敬意の意味が含まれていることを知っていることで、お経や、仏の名前を口にする際の心がけも変わります。

意識を持って南無を口にすることは、仏に対して意思や信念をしっかりと伝えることにも繋がりますので、意識をしっかりと持ってお経を唱えたり、仏に手を合わせていただきたいと思います。

 

ABOUT ME
おてさら君
お寺生まれの長男坊。『仏教は哲学』をモットーに仏教の面白さを世の中に伝えるべく日々自己鍛錬中。ミャンマーやスリランカといったアジア国で上座部仏教の修行経験、日本では納棺師の経験を経ています。自分の煩悩の強さを感じながら『職業は僧侶』ではなく、『生き方が僧侶』を目指し、宗派に属さずお寺と俗世間の間で偏りのない仏教に関する情報を提供中。
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