仏教には多くの仏像が存在します。仏像には立っているものや寝ているものなど様々な形がありますが実はその形全てに意味があるのです。今回は仏像の形の中でも特に多いハンドサインにおける違いと意味を、仏教の開祖である釈迦如来像のハンドサインから紐説いていこうと思います。
目次
仏像のハンドサイン『印相』とは
仏像が示すハンドサインのことを『印相(いんそう)』といいます。印相は手の向きや指の形によって意味が異なり、仏像を通して仏の意志やメッセージを人々に伝える役割があります。
*印相は『いんぞう』ともいう。
釈迦の五院(しゃかのごいん)
釈迦の五院は釈迦如来像に見られる5つの印相。お釈迦様が仏法を説いていた時の身振りが由来の印相であり、仏像に見られる代表的な印相である。
ハンドサインにみる釈迦如来像の意志
それでは釈迦如来像における5つのハンドサイン。『釈迦の5院』を見ていきましょう。
- 施無畏印(せむいいん)
- 与願印(よがんいん)
- 禅定印(ぜんじょういん)
- 転法輪印(てんぽうりんいん)
- 降魔印(ごうまいん)
①施無畏印(せむいいん)
施無畏印(せむいいん)は右手の5指を上に向け、手のひらを見せる形で胸の高さに構えるハンドサイン。施無畏印は人々に「畏る(おそれる)ことはないですよ。」とメッセージを伝えているもので、安らぎと力を与えてくれる象徴でもあります。
②与願印(よがんいん)
与願印(よがんいん)は左手の5指を下に向け、手のひらを見せる形でお腹の高さに構えるハンドサイン。与願印は「願いや欲しいものを叶えましょう。」といった意味を表したハンドサインです。
③禅定印(ぜんじょういん)
禅定印(ぜんじょういん)は下腹部あたりで手のひらを上に向け、左手の上に右手を乗せる形で両手を重ね、両親指を合わせた形のハンドサイン。禅定印は釈迦如来が瞑想している姿を表したポーズで、瞑想状態にあることや最高の悟りを意味しています。
④転法輪印(てんぽうりんいん)
転法輪印(てんぽうりんいん)は胸の前で両手を組み合わせるハンドサイン。転法輪印は釈迦如来が初めて教えを説いた時の姿を表しているため、『説法印(せっぽういん)』とも呼ばれています。
⑤降魔印(ごうまいん)
降魔印(ごうまいん)は右手の甲を見せた形で、右手の人差し指を下に向けているハンドサインです。この降魔印は釈迦如来が魔物や悪魔(煩悩)を追い払って悟りを得た時のポーズで、自己の煩悩に打ち勝つことを意味しています。
まとめ
釈迦如来の5つのハンドサインである釈迦の五印は、お釈迦様の生きていた頃を感じさせる象徴であります。ハンドサインから釈迦如来のメッセージを読み取ることができれば、お寺がどのような意味合いを持って釈迦如来像を安置しているのか、どのようなことを人々に伝えたいのかも知ることができるので、お寺の参拝を更に有意義にすることができます。仏像を新しい角度から楽しむことができますので、これを機に仏像による様々なハンドサインを見つけていってください。