仏教

本来の意味が違う?日常で使われる5の仏教用語

仏教用語の中には日常で使われている言葉が多く存在しています。しかし中には本来の意味と異なって使われている言葉も多く、間違った意味で広がった仏教用語が数多く存在。そこで今回は日常で使われている仏教用語と、本来の意味を紹介していきます。

仏教用語の中には間違って世の中に広まったものも多いです。本来の意味を知ると共に、「この言葉も仏教用語なのか。」と新しい発見もできますので豆知識として覚えておくと良いですよ。
この記事でわかること

・日常で使われている仏教用語
・各仏教用語の本来の意味

仏教用語とは

仏教用語とは仏教の教典や仏教の解釈、表現によって生まれた言葉。

本来の意味が違う?日常で使われるOOの仏教用語

今回は仏教によって生まれた5つの言葉の本来の意味を紹介します。

  1. 出世(しゅっせ)
  2. 迷惑(めいわく)
  3. 絶対(ぜったい)
  4. 我慢(がまん)
  5. 機嫌(きげん)

①出世(しゅっせ)

社会に出ると出世という言葉をよく耳にするようになります。「出世したい。」「出世してすごいね」など。中には「出世欲」などという言葉もあり、出世は会社における地位が上がることを指す言葉のように思われがちですが、出世も実は仏教用語。出世には本来の意味が2つ存在します。

お釈迦様の出現を指した言葉

出世の本来の意味一つ目は、仏教の祖であるお釈迦様が人々に真理を伝え、人々を救済するために『世に出現する』という意味です。そもそもはお釈迦様を限定に使われていた言葉でしたが、時代と共にまた新しい意味を生み出します。

出家を指した言葉

時代が進むと出世は、『俗世間を捨てて仏門に入る。」出家の意味を含む言葉になります。

出家したお坊さんの中でも、特に貴族生まれのお坊さんは出家して地位をどんどんあげていったと言われています。この『出家における地位の上昇』が一人歩きした結果が、現在の出世における意味を創り出したのです。

②迷惑(めいわく)

迷惑という言葉は他人に不愉快な思いをさせられた時などに使用される言葉ですが、元々の使い方は自分自身の様子を指す意味で使われた言葉です。

仏教に迷い惑う様

迷惑は本来、仏の教えに迷い惑う様を表した言葉として使われていました。古くより多くの人々が仏教を信仰しておりますが、仏教の教典は膨大であり、仏教は知識だけでなく心身で学ぶ必要があります。その難しさは学問とはまた違ったものなので、多くの人々が仏教の教義に頭を悩ませたことから『迷惑』の言葉が生まれたのです。

現在使われている『迷惑』という言葉の意味は、『仏教の難しさに悩まされた心理状態に近い状態を表したもの』と考えることができます。意味を知って使うと言葉に深みが出ますから、意識して使うと良いですよ。

③絶対(ぜったい)

絶対という言葉は「絶対に勝つ」「絶対に無理」など、断言するような強い印象を与える言葉であり、様々なシーンで使用されていますが、ニュアンスには少し曖昧な部分があります。絶対の本来の意味は現在のニュアンスを明確にするものですので、本来の意味を知ると『絶対』を上手に使うことができます。

比較対象が無いことを指した言葉

絶対は正しくいうと『絶待(ぜつだい』という言葉になり、比較対象に無い、相対関係を越える観念に対して使われた仏教用語です。

現在の絶対の使われ方は、断言に近いニュアンスを感じます。これは比較要素が無いほどの心持ちを含んだ言葉ともいえ、無意識に現れた心の言語化と考えることができます。

④我慢(がまん)

我慢は現在、忍耐や耐えるなどに通ずる意味を持ち、日本人の美徳とも考えられていますが、本来の意味は全く違った用いられ方がされています。

我慢は煩悩の一つ

我慢という言葉は、仏教用語では自分にある強い自我に執着し離さない慢心ことを示す煩悩の一つで、一言で言うと『我が強い』ことを指して使われます。

我が強いと言うことは、他人から見ると「辛抱強い」「意志が強い」とも捉えることができます。したがって現在の我慢の使われ方は仏教用語としては異なった考え方ですが、我の強さから忍耐力がある、辛抱強いと言う意味合いを含ませた言葉に変わったと考慮することができます。

 

⑤機嫌(きげん)

機嫌は心の様子を表す言葉として「機嫌が悪い」「機嫌が悪い」また『ご機嫌取り』という言葉もあり、常日頃より広く使われています。

譏る嫌う(そしるきらう)

機嫌は元々、譏嫌(きげん)と書き、『そしりきらう』を意味する言葉として使われていました。そしりきらうとは嫌悪(けんお)されること、嫌悪することを指し、仏教の戒律の中においては『譏嫌を受けない』ように心と行動を慎むようにと定められています。

現在の機嫌は他人の譏嫌を表情や心情から知るために派生した言葉の延長ととれます。心理状況を伝えるにはとても便利な言葉に生まれ変わりましたね。

まとめ

仏教用語が仏教界だけでなく日常的に使われる様になったことで、意味が変化し私たちの行動や心理状態を他者に伝えやすくなりました。仏教用語の意味合いが変わったのは古い話ですが、まだまだこれから変化していく言葉が現れることも考えられます。仏教ならではの深い言葉を上手に使って会話表現を豊にしていきましょう。

 

ABOUT ME
おてさら君
お寺生まれの長男坊。『仏教は哲学』をモットーに仏教の面白さを世の中に伝えるべく日々自己鍛錬中。ミャンマーやスリランカといったアジア国で上座部仏教の修行経験、日本では納棺師の経験を経ています。自分の煩悩の強さを感じながら『職業は僧侶』ではなく、『生き方が僧侶』を目指し、宗派に属さずお寺と俗世間の間で偏りのない仏教に関する情報を提供中。
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