葬儀について

【まとめ】納棺式で棺に入れるものと入れてはいけないものとは

お葬式の前には『納棺式』という亡くなられた方を棺に収める儀式があります。

納棺式の最中には、副葬品を棺に収めるという時間がありますが、実は入れてよい物と入れてはいけない物が存在。

今回の記事では実際に納棺師をしていた私が、「そもそも副葬品とは何か」そして、棺に入れてよい副葬品と、入れてはいけない物についての紹介をさせていただきます。

事前に棺に入れてよいもの、入れてはいけないものを知っておくことは納棺式を円滑に行うことにも繋がりますので、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

・副葬品とは
・入れて良い副葬品と入れてはいけない副葬品
・よく入れられている代表的な副葬品

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副葬品(ふくそうひん)とは

副葬品とは亡くなった方と一緒に埋葬される品々のことです。
亡くなった人が生きていた時に愛用していたものや、思い入れのあるものなどが主に入れられています。

入れてよい副葬品の例

愛読していた本

本は紙製なので、副葬品として棺の中に入れてもOKです。

特に故人が愛読していた本であれば、きっと故人も喜んでくれるでしょう。

ただし、

・分厚い本
・厚さ2cm以上
・ビニール製などのブックカバーがついているもの

は、そのまま入れることはできませんので、分割したりカバーを外すといった工夫が必要です。

育てていた・好きだった花

花などの植物を入れることもできます。
故人様の好きだった花や、育てていた花があればぜひ棺に入れてあげましょう。

また、花言葉のある花を一緒に入れてあげるのもアリ。
以下の花には、感謝の花言葉が込められているので、遺族からの最後の贈り物とすると良いでしょう。

  • バラ(ピンク)
  • ダリア(白)
  • ガーベラ(ピンク)
  • カンパニュラ
  • かすみそう

衣類、小物類

燃えやすい綿や麻、絹といった天然素材でできたものであれば、洋服や着物、手袋やマフラーといった小物まで棺に入れることができます。

実際に着ていただくことも可能ですが、何枚も着れるわけではありませんので、気に入っていた物が何枚もある場合は、納棺式の副葬品として棺に納めるのが◎です。

故人が写っている写真や風景などの写真

棺に写真を入れることもできます。

生前の故人を象徴するような写真を入れたり、故人が撮影した写真なども良いです。

ただし、生きている人が写っている写真は要注意!

一説には、生きている人が写った写真を入れると、生きている人もあの世に連れて行かれるという話があるのです。

真実はわかりませんが、万が一ということもありますので気を付ける必要があります。

手紙・イラスト

遺族の方から、故人様にあてた手紙や、故人が生前にもらった大切な手紙を入れることもできます。

また故人を書いたイラストなども入れる事が可能ですので、子どもが昔書いた絵などがありましたらぜひ入れることも考えましょう。

中には遺族の方や参列者のメッセージを一枚の色紙に書いて棺に入れる方もいますよ。

食べ物・飲み物・タバコなどの嗜好品

棺にはお菓子や果物から、お茶やお酒、タバコといった嗜好品も入れることができます。

但し、ビンや缶、プラスチックなどの容器では棺に入れることはできませんので注意が必要です。

どうしても入れたいという場合は、紙製品などの燃える容器に移しましょう。

注意する必要がある飲み物や果物

水分量が多い果物は燃焼の妨げになる可能性があるため、棺に入れられない可能性があります。

また、果物を丸ごと入れた場合、燃焼時に爆発する可能性もありますので、果物はあらかじめ切っておくなどの処置が必要です。

入れてはいけない物

入れられないものには、燃焼時に爆発の危険があったり、ご遺体に傷を付けてしまうなどの理由があります。

何事もなく故人様の供養できるように危険性についても理解しておくことが必要です。

お金(紙幣・お札)

紙幣を燃やすことは法律で禁止されています。

火葬であっても法律の例外にはならず、法律違反となってしまいますので、紙幣を棺に入れるのはやめましょう。

スプレーやライター、電池・バッテリー

スプレーやライター、電池、バッテリーといったものは爆発の危険性があるため、棺に入れることはできません。

火葬時の遺体の状態が悪くなることはもちろん、自分たちの身も危険になることが考えられますので要注意です。

ゲーム機やラジオなどの電化製品

また電池やバッテリーを抜いたとしても、ゲーム機やラジオなどの電化製品を棺に入れてはいけません。

スプレーやライターと同じように、爆発の恐れや遺体を傷付ける可能性があるので、棺には入れないようにしましょう。

革靴などの革製品

革製品で造られた靴や鞄、衣類は、溶けて遺体に付着してしまう可能性があるため、棺に入れることはできません。

火葬後の遺骨が、溶けた革で見るも無残な姿になってしまいますので、自分たちが悲しい気持ちにならないためにも注意しておくことが必要です。

ぬいぐるみ

ぬいぐるみは燃えにくく、遺体の燃焼に影響が出てしまうため棺に入れることはできません。

サイズによっては葬儀屋さんの判断によって入れてもよいとされる場合がありますので、葬儀屋さんに一度確認すると良いでしょう。

時計などの貴金属

貴金属やガラス製品は、ご遺体に傷を付ける危険性があるため、棺に入れることはできません。

時計やアクササリーといった物は、形見分けとして遺族で分配するのが良いでしょう。

不燃物や公害になるもの

プラスチックやCD、ビニールや発砲スチロールを使ったものは入れることができません。

燃やすことでダイオキシンなどの有害物質が出るものは入れないようにしましょう。

また、バットや釣竿、ゴルフクラブなども火葬炉の故障原因になるので入れることはできません。

故人様使っていた義足や義手

残念ながら、棺の中には故人様が生前使っていた義足や義手も入れることはできません。

「手や足のように使ってたんだから良いでしょ!」と思う気持ちは良くわかりますが、義手や義足の多くは鉄製でできているため、時計や貴金属と同じように、燃やしたらご遺体を傷つけてしまうことが考えられます。

金属類が棺の中で爆ぜると、場合によっては遺体の原型も無くなってしまう恐れがあります。

納棺式で棺によく入れられる代表的な物(副葬品)

最後に実際によく入れられている副葬品を紹介します。

思いつかなかった物も出てくるかも知れませんので、最後まで参考にしていただき、故人にできる最高の納棺式をおくってください。

代表的な棺に入れるもの

衣類、小物類
・着物・浴衣・スカート・コート
・マフラー・ストール・手袋・帽子
食べ物、飲み物
・スナック菓子・洋和菓子
・日本酒・ビール・コーヒー
その他
・小説・花・御朱印帳・折り鶴・パッチワーク
・写真・手紙・絵・パッチワーク・タバコ・写経本

まとめ

故人に送りたい副葬品は遺族の方によって異なります。

副葬品は故人の生前の大切なものであり、ご遺族からあげられる最後のプレゼントでもありますので、棺に入れられるものを吟味して、故人に喜んでもらえるように棺に入れてもらいたいと思います。

今回の記事であげた物は一般的な物なので、判断が難しいものに関しては葬儀屋さんや納棺師に判断してもらいしょう。

ABOUT ME
おてさら君
お寺生まれの長男坊。『仏教は哲学』をモットーに仏教の面白さを世の中に伝えるべく日々自己鍛錬中。ミャンマーやスリランカといったアジア国で上座部仏教の修行経験、日本では納棺師の経験を経ています。自分の煩悩の強さを感じながら『職業は僧侶』ではなく、『生き方が僧侶』を目指し、宗派に属さずお寺と俗世間の間で偏りのない仏教に関する情報を提供中。
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