納棺師とエンバーマーは同じように見られることがあり、同義語のように扱われがちですが、納棺師とエンバーマーでは仕事内容に違いがあります。
今回の記事では、エンバーマーという仕事がどのようなものであるかをお伝えしながら、納棺師との違いを紹介していきます。
・エンバーマーの仕事
・納棺師とエンバーマーの違い
・実際にかかるエンバーミングの費用
目次
エンバーマーとは
エンバーマーは、「エンバーミング」という特殊な技術を使って遺体の修復や、遺体の腐敗を遅らせる技術者のことを言います。
エンバーミングの歴史は古代インドが発祥
エンバーミングは、アメリカなどではお葬式の前に行われる遺体の処理方法として知られており、日本でも最近利用されることが多くなった技術です。
アメリカなどでのエンバーミングは、土葬した遺体の腐敗による感染症の予防対策として利用されていますが、元々の起源は古代インドにまでさかのぼります。
古代のインドでは儀式をすることで、死んだ人も蘇らせられると信じられていたことから、「死んだ人を生き返らせる方法」としてエンバーミングに近い技法が活用されていました。
仕事内容にみるエンバーマーと納棺師の違い
納棺師は遺体の保護やケア・エンバーマーは遺体の修復
納棺師は遺体の傷あとを保護したり、傷口を見えないようにする「ケア」が仕事ですが、エンバーマーの場合は遺体の修復が仕事です。
例えば、皮膚の一部に大きな傷口があった場合、納棺師は傷口から血や体液が出ないように、止血してメイクで傷口をカバーしますが、エンバーマーの場合は皮膚を縫合して傷口を閉じ、遺体用のワックスをして普通の皮膚のように修復するのです。
日本のお葬式にあたっては、納棺師によるメイクが一般的ですが、遺体の状態によってはエンバーマーに依頼することも増えてきており、年々エンバーミングの需要が高まりつつあります。
遺体の防腐の処理を行う
納棺師とエンバーマーの決定的な違いとしてあげられるのが、遺体の防腐処理の技術がエンバーマーにはあることです。
納棺師の場合はドライアイスなどを使って、腐敗を遅らせる処置を行いますが、エンバーマーの技術では動脈から防腐剤を注入して、遺体全体が腐りにくい状態を作り、体の中に残った残留物を全て排除することで、遺体を長期的に保全することができるのです。
エンバーマーをするには資格が必要
納棺師は資格がなくてもできますが、エンバーマーをするには資格が必ず必要となります。
資格を取るには、IFSA(international Funeral Science Association)が指定する施設でエンバーミングの技術と知識を2年間学び、最後は試験に合格しなければなりません。
納棺師の方が活動の幅を広げるために、エンバーマーの資格取得を考えたりする場合もありますが、時間がかかるうえに試験が国家試験よりも難しいとのことから、諦めてしまう人も多いです。
エンバーミングの依頼の費用は15万円〜20万
エンバーミングにかかる費用は15万円〜20万円ですが、納棺師に業務を依頼する場合は、3万円〜9万円までの金額がかかります。
エンバーミングの方が高いように感じますが、特殊な防腐処理などを考えるとそれ相応の値段と考えられますね。
もし実際に依頼するのであれば、遺体の状態を考慮しながら納棺師を頼むかエンバーマーを頼むかを見極める必要があるでしょう。
まとめ
納棺師とエンバーマーは同じ業種ですが、実際は仕事内容に様々な違いがあります。
どちらの仕事も、他の仕事ではすることができない事ばかりですが、エンバーマーの仕事は遺体の修復や防腐処理なども行うので、納棺師よりも遺体に1歩踏み込んだ仕事と言えるでしょう。
仕事の内容に違いがありますが、納棺師もエンバーマーも「遺体を綺麗な状態にして、遺族に会わせたい」という気持ちに違いはありませんので、どちらの職業も尊い仕事であると言えますね。