駅前などの人が多い場所にずっと立っているお坊さんを見かけたことはありませんか?
人によっては、「なんかブツブツ言って不気味。」「金目当てかよ。」なんて思っている人も多いですが、実は立っている理由には人助けの目的があるのです。
駅前などに立っているお坊さんがお金を受け取るのは、お金を渡す人に「徳を積ませる」「執着を捨てる」というメリットがあり、受け取る側よりも渡す側にとって重要な意味を持っています。
今回の記事では、そんな駅などに立っているお坊さんについて紹介していきます。
・駅などに立っているお坊さんがしているのは何か。
・なぜ人が多い駅などに立っているのか
・実際にお金を渡すならいくらが良いのか。
駅などに立っているお坊さんがしているのは托鉢
駅などに立っているお坊さんがしているのは、「托鉢(たくはつ)」です。
古くは、2500年以上前に仏教の開祖である「ブッダ(お釈迦様)」が始めたもので、
・乞食行(こつじきぎょう)
・頭陀行(ずだぎょう)
・行乞(ぎょうこつ)
とも言われ、日本だけでなく世界中の仏教国が修行の一つとして行っています。
元々は、お寺周りに住む家々を回って食糧を分けてもらうものですが、現在の日本ではお金を渡すことが多くなっています。
托鉢はお金を渡す側に意味がある
托鉢はそもそもお坊さんの為でなく、お金や食糧を渡す人に意味がある行為です。
仏教の教えでは、人に施すことは布施行(ふせぎょう)と言い、自分のものを分け渡すことで「執着(とらわれる心)」を無くし、徳を積むことができると解かれています。
中でもお金や食糧、衣類といった「物」を与えることは、財施(ざいせ)と言われ、渡してきた様々な物は、いつか自分の元に倍となって返って来るとされている。
この財施は、言い方を変えれば、お坊さんにお金や衣食物を渡すことで、来世への投資をしているということになります。
結果的に見れば、お坊さんがお金や食べ物をもらって得をしているように感じますが、仏教の教えからすると、托鉢は渡している人にこそメリットがある。
つまりお坊さんは、仏教の教えにそって人助けの目的で托鉢をしているのです。
なぜ人が多い駅などで托鉢をしているのか
先にも言いましたが、托鉢はお金集めを目的にしているわけではなく、人に布施行を行ってもらうことが目的です。
しかし、人が多い街中にお坊さんが立っている理由は、托鉢だけでなく、仏教の教えを広めて人々を救うためでもあります。
「いつも同じ場所にいるけど、あのお坊さん何してるんだろう。ちょっと話しかけてみよう。」と思ってもらえるなら、布施行はもちろん仏教に触れてもらえるチャンス。
仏教の教えを伝えることは、僧侶の大きな役割ですので、「人々のためになりたい」「仏教を知ってもらいたい」という気持ちを持って、お坊さんたちは日々人の多い場所をあえて選んでいるのです。
お坊さんからしても、せっかくなら話をしたいという思いがあるので、「幸せってなんですか?」「仏教ってなんですか?」とちょっとした疑問があるなら一度話しかけてみると良いでしょう。
実際に渡すお金は1円からでも大丈夫
托鉢をしているお坊さんに渡すお金の金額には決まりがありません。
はっきり言えば1円だけでもOKです。
もちろん、金額が多いのに越したことはありませんが、自分の財布に余裕がなくなるほど渡すのはNG。
なぜなら一番大切なことはお金を渡すという行為だからです。
先ほど布施行は来世への投資と言いましたが、前提条件には執着を捨てるという目的があります。
自分が生活できる範囲のお金は持っておく必要がありますし、生活できる以上の物にこだわる心が執着ですので、過度な金額を渡すのは控えましょう。
・1円からでもOK
・財布に余裕がなくなるほどの金額は渡さない
・金額に関係なく「お金を渡すことが大切」
まとめ
人が多い駅などに立っているお坊さんは、一見不気味に感じられますが、実際は仏教の教えを伝えるためと、托鉢を通して人々の執着を消すための目的を持っています。
お金を渡すのは結構ハードルが高いことですが、1円でも渡すことで心が清めると考えれば、少しは渡しても良いのではと考えられるはず。
托鉢しているお坊さんに話をすることで、何か人生のきっかけが生まれることもありますので、お金を渡しす際にはぜひ声をかけて、自分の思っている疑問などを問いかけてみましょう。