日本には13もの伝統的な仏教宗派があります。中には同じような宗派名の宗派もありますが、開祖によって教理も違い特徴も様々です。
今回はそんな日本の13の仏教宗派についてサクッと説明させていただきますので、サクサク読んで仏教の宗派に興味を持っていただきたいと思います。
・13の仏教宗派
・各宗派の開祖・各宗派の御本尊
・各宗派の本山・各宗派の特徴
目次
伝統仏教とは
古くから今日まで信仰されてきた、一般的に知られている仏教宗派を指して使う言葉。
中国が起源のものや、日本独自の宗派が存在する。
法相宗(ほっそうしゅう)
法相宗は南都六宗の1つ。日本には道昭(どうしょう)が広めましたが、元々は西遊記で知られる三蔵法師のモデル、『玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)』がインドから持ち帰った深層意識に関する法を中国語に翻訳し、中国で広めたことが宗派の紀元となっています。
律宗(りっしゅう)
律宗は南都六宗の1つ。中国の高僧である鑑真(がんじん)が来日したことがきっかけとなり、日本に布教が行われました。お経を唱えることよりも戒律(特に四分律)を重視している点が大きな特徴です。
華厳宗(けごんしゅう)
華厳宗は南都六宗の1つ。華厳宗の主な経典である華厳経は哲学的でありながらも思想的な大乗教典。インドに伝わっていたいくつもの教典を組み合わせて編成されたものとされており、とても難解なため華厳宗として確立するためにも大変な時間がかかったとされています。
開祖は中国の僧である杜順(とじゅん)ですが、教えが師からから弟子へと受け継がれ代5祖、代7祖と宗祖が変わっている点も特徴の宗派です。
真言宗(しんごんしゅう)
真言宗は開祖である空海が中国に渡り、日本に持ち帰ってきた密教です。即身成仏(死んで仏になるのではなく、この身のままで悟る)を説いており、三密修行(身体、言葉、心の3つにおける修行)に重きを置いているのが特徴です。
天台宗(てんだいしゅう)
天台宗は大乗教典の1つである法華経(ほけきょう)からの教えを基盤に開かれた宗派です。元々の宗祖は中国の智顗(ちぎ)という僧侶ですが、日本に伝え広めたのは最澄。「全ての人に悟りを。」を軸に最澄は比叡山延暦寺を開き、天台の教えを広めると共に、今日における様々な宗派の開祖、名僧を世に出していきました。
日蓮宗(にちれんしゅう)
日蓮宗は法華経の中にある全ての教えを『妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)』の5文字にまとめ、誰でも唱えられる身近な教えとして法華経を世に広めた僧侶、日蓮による仏教宗派です。
他の宗派と違い、『妙法蓮華経』の大曼陀羅を御本尊としている点も日蓮宗の特徴です。
浄土宗(じょうどしゅう)
浄土宗は法然が開いた宗派です。鎌倉時代に開かれ、難しい教理ではなく「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)』と念仏を唱え祈れば極楽浄土に行けるようになる。」というシンプルでわかりやすい教えにより、鎌倉時代の民衆に広く浸透しました。
浄土宗は『鎮西派』と『西山派』の2つに別れます。西山派は浄土宗の教義とはまた違うので、浄土宗とは別と考えられていますが、開祖は法然です。
浄土真宗(じょうどしんしゅう)
浄土真宗は浄土宗の法然に師事した親鸞によって開かれた宗派です。浄土宗と同じく「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と念仏を唱える宗派ですが、「どのような気持ちで南無阿弥陀仏を唱えるのか。」と気持ちの部分に重きを置いており、浄土宗とはまた異なった宗派となっています。
浄土真宗は、『浄土真宗本願寺派(じょうどしんしゅうほんがんじは)』と『真宗大谷派(しんしゅうおおたには)』に別れており、『南無阿弥陀仏』も本願寺派は「なもあみだぶつ」、大谷派は「なむあみだぶつ」と唱え方が異なり、他にも様々な違いがみられます。
融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう)
融通念仏宗は良忍によって開かれた宗派です。「全ての人の念仏は一人一人に功徳として与えられる。」とし、「この世にありながら浄土に至ることができる。」という考えを基盤としています。浄土宗や浄土真宗と同じ念仏門ですが、この世で浄土を目指すという点では違いがあります。
時宗(じしゅう)
時宗は一遍という僧侶が開いた宗派です。浄土宗の一派のため『南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と念仏を唱えますが、浄土宗の中でも特に念仏に重きを置いており、阿弥陀仏(あみだぶつ)を信じる信じないにかかわらず、「念仏を唱えるものには浄土行きが約束される。」と仏の力は強力である事を世に広めると共に、念仏を広めていきました。
臨済宗(りんざいしゅう)
臨済宗は禅宗の1つで栄西によって開かれました。「教えや教典に縛られず、師から弟子へと伝えていく。」という相伝のスタイルが特徴で、中でも『看話禅(かんなぜん)』という修行法は、師が弟子に公案を出し、弟子が体全体を通して答えを導き出すという修行法で、師から弟子への相伝がいかに重要であるかを表しているものでもあります。
曹洞宗(そうとうしゅう)
禅宗の1つである曹洞宗は道元が開いた宗派です。座禅と開祖である道元が書いた『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』と『伝光録(でんこうろく)』を教えの軸としており、「日々正しい生活を送り、仏の心に近づいていく事を目指そう。」と人々に正伝の仏法を伝え広めた宗派とも言えます。
黄檗宗(おうばくしゅう)
黄檗宗は禅宗の1つで、隠元という僧侶が開きました。禅宗に属していますが、他の禅宗とは違い、念仏の影響も受けていることから、『念仏禅(ねんぶつぜん)』という念仏と座禅を組み合わせた独自の座禅法を行います。教典よりも座禅などの『行』に重きを置いているので、『自己を探究する』哲学的な部分が大きい宗派です。
まとめ
日本には様々な仏教の宗派があります。どの宗派も開祖が長い間修行して導き出した、仏教の答えともいうべき結晶です。それぞれの宗派からそれぞれに学ぶことがあり、一つとして無下にできるものはありません。現世を生きるためのヒントにもなりますので、1人でも多くの人が仏教に興味を持ってくれたら幸いに思います。気になった宗派があったら是非色々と調べてみてください。